webサービスなのに実店舗があるファッションベンチャー
webサービス・アプリ全盛期。我々はECで簡単に服が選び、買えるようになりました。
ファッションベンチャーも沢山ありますが、その多くはwebだったりアプリだったりインターネットを中心とするもの。そりゃそうです。実店舗には百貨店やモールやセレクトショップが昔から強力なプレイヤーとしており、インターネットを使ってその弱点を補強したり、もっとできることを増やそうとしているのですから。
リアル店舗はUXを上げる
ところが、消費者がECを使う際の問題点は「ものを触れない」ことだったりするわけです。やっぱりwebサービスだけじゃなくて実店舗もあるほうがお客様のためになるよね、という感じで最近ファッションベンチャーが実店舗を出す事例が増えています(聞いたわけじゃないから他の事情があるかもですが笑)。
というわけで、今回はリアル店舗があるファッションベンチャーをピックアップしたいと思います。
色から新しい出会いを求める「IROZA」
東急百貨店渋谷店に拠を構えるのがIROZA(イロザ)。
IROZAのコンセプトは 「色でアイテムを探せるセレクトショップ」。
IROZAのサイトを訪れると「ある一色」ばかりが目に入ります。例えば今月は「blossom」。そう、IROZAでは今月の色が決められているのです。
IROZAにはネイビーで集められた商品がたくさんあります。ところで、深夜メガネはネイビーが大好きでファッションでも雑貨でもどうしてもネイビーを選びます。そんな状態で深夜メガネがIROZAのネイビーのコーナーをみたらどうなるか。興奮します。興奮して買いまくります。
▲2016年3月の色は「blossom」
銀座から日本ブランド再興を目論む「ファクトリエ」
銀座にひっそりと佇むのはfactelier(ファクトリエ)。
ファクトリエは一見普通のアパレルブランドなのですが、「徹底した中間コストの排除」「(だから)びっくりするくらいの高品質なのに安い」「(実店舗があるのに)ECだけで販売」なんていう特徴があります。
最初の2つはこちらの記事が素晴らしいので是非。
店舗に行っても売ってくれない!?
今回注目したいのは3つ目の「ECだけで販売」という点です。ファクトリエは実店舗があるにも関わらず、すべてEC経由で販売しています。実店舗には商品があるのですがすべてサンプルで、そこに商品があっても持ち帰れないとのこと。もちろん試着はできて、気に入ったらお店にあるタブレットからECにログインして購入することが出来ます。
後に紹介するLaFabricならわかるんです。だってオーダーメイドですもの。在庫なんてあるはずがありません。
ファクトリエも置こうと思ったら置けるはずです、でも置かない。理由は聞いたことがないですが、そこも品質や値段に関わるこだわるファクトリエの理由があるのだと思います。
ちなみに銀座だとちょっと高齢の方でタブレットに不慣れだったりクレカ情報を入れるのを嫌う人もいると思うのですが、そこのところをどうしているのは是非伺って見たいものです。
世界中のメガネの中から運命の1本に出会える、メガネのEC「Oh My Glasses」
視力が弱い人にとってメガネはもはや体の一部と言っても過言ではありません。メガネユーザにとってメガネは人生そのものです。メガネを店頭でしか購入したことがない方も多いのではないでしょうか。だがしかし!そうするとあまり気に入ったメガネがないのもまた事実。いいメガネが見つからないという悩みは度なしのおしゃれメガネユーザーにとっても同じではないでしょうか。そんなときに登場するのがメガネのEC「Oh My Glasses(オーマイグラス)」。
25,000本から5本を選択
オーマイグラスには25,100種類のメガネがあるそうです(2016年3月現在)。これならメガネも選び放題。というかありすぎて選べないんじゃ笑
気に入ったメガネがあれば5本まで選んで自宅に送ってくれます。あとは自宅で試着して気に入ったものはそのまま購入、その他の商品は返品で手続き終了です。今自分のかけているメガネをオーマイグラスに送れば度付きレンズを作ることも可能です。
最初は実店舗に行ってみるのもいいかも
オーマイグラスには実店舗もあります。2016年3月現在「渋谷」「新宿」等5店舗。先にも書きましたが、特に視力が弱い人にとってはメガネをECだけで作成するのはやはりハードルが高いものです。実店舗があって視力を測ってくれたりしたら安心ですし、一旦お店で視力を測っておき、視力がそんなに変わらなければ次回からはECで購入してもいいですね。
オンラインでオーダースーツを作成「LaFabric」
最後に紹介するのはLaFabric(ラファブリック)。オンラインオーダースーツを作るベンチャーです。
オーダースーツを着たことありますか?深夜メガネは所要で諸用で作ったことがあるのですが。
とてもいい。
当たり前ですが体にフィットするんですよ。スーツなのにとても動きやすい。そんなオーダースーツをオンラインで作成できるのがLaFabricです。
仕組みは簡単。LaFabricのサイト上で気に入ったスーツを選び、その後に自分の全身15箇所のサイズを登録するだけ。サイズの計測方法も各箇所動画で紹介されているので簡単です。
実店舗に行けば実測してくれる
とはいえ、計測には不安が残るのもまた事実。LaFabricは渋谷に本店を、東京各所にポップアップストアを構え、そこに行けばスタッフが体の計測もできますし、生地や仕上がりの確認も出来ます。
そしてなんと、出張採寸なんて制度もあるそうです。東京23区限定でスタッフの方が家まで来てくれるそうです。しかも今なら無料(採算どうなってるんだろう笑)。この機会に是非。
お買い物ガイド | LaFabric カスタムオーダーのメンズファッション
実店舗⇛オンラインでリピーターを
いかがでしたでしょうか?オンラインで買い物をするときの問題点はやはり「実物が見れない」こと。各サービスともこの不安を解消するために実店舗を構えているのかと思います。
逆に、オフラインの問題点は「店舗に行かなければいけない」こと。買うものが決まっている状況では、店舗に行くのは面倒だしそもそも時間がないかもしれないし遠いかもしれません。そんな時に一回行ったことがあって安心感があれば、もう店舗に行く必要はないですね。
おそらく、webだけの顧客と、店舗に来てくれた顧客のリピート率は後者の方が高いはずです。とすれば、各サービスともwebだけでなく店舗への誘導も重要になってくるでしょう。このオンライン全盛期に面白いパラドックスです。
それではでは深夜メガネでした、おやすみなさい。
気に入ったサービスがあったら是非そのサービス名と一緒にシェアして下さい♪~(´ε` )
eventregistとpeatixの戦略差が面白いという話
こんばんは。深夜メガネです。
さて、イベント管理サイトっていっぱいありますね。everevo / connpass / ATND / doorkeeper / tixee... 小さいものある業界だけでやたら使われているものを含めればよくわからない程沢山あります。その中でもパイオニアとして目立っているのが「eventregist(イベントレジスト)」と「peatix(ピーティックス)」かと思います。
偶然でしょうか、この2つのサービスが近い時期にリリースを発表しておりました。
イベレジは広告を、peatixはコミュニティ機能を「アドオン」
ざっくり言うと、イベントレジストは広告機能を強化、peatixはコミュニティ機能を付加しました。
フリークアウトと提携してイベント集客広告を強化したイベントレジスト
まずはイベントレジスト。イベントレジストは従来からデジタル広告に強いフリークアウト社と資本業務提携を行っていました。
時間はかかった感じはありますが、この取組みが身を結んだのでしょう。「オンラインでの告知や集客にユーザーデータを活用してより効率的に広告表示をする」ということですかね。
具体的には多分こういうことじゃないかと想像しています。
まず、イベレジでは当然ながら大小色々なイベントが存在します。その中にはセミクローズ〜オープンなイベントが多いはずです。そういうイベントは集客に苦労、または「もっと人が来てくれたらいいのになぁ」という状況が多いものです。
一方で、イベレジ側は数千のイベントデータがあるので、いわゆるビッグデータ(数千くらいなら「ビッグ」なのかどうかわかりませんがそう呼んでおきますね)が溜まって、こういう条件なら人が集まりやすい、このイベントに興味がある人はこっちのイベントも興味がありそう、みたいなデータが集まってきます。
そしてフリークアウトは言わずと知れたネット広告の会社(難しくてよくわかってないですが笑)。ターゲティングができれば広告を効率よく配信することができます。
こんな感じですかね。
要するに「イベント集客に困っているなら、イベレジが広告お手伝いしますよ!」ってことですね。
従来インターネット広告代理店が担っていた領域をイベレジが代替していますね。これからの広告代理店はこういう機能と連携して効果的・効率的に広告配信できるようにしないときついかもですね。
コミュニティ機能を強化するpeatix
一方のpeatix。こちらはイベントを中心としたコミュニティ機能を強化するようです。
事業転換(ピボット)って言われてますけど、ピボットじゃなくて機能のアドオンのような気がしますけどね。まぁ呼び方はどうでもいいです。
コミュティ機能と言いましたが、正式には「グループ機能」という名称で「興味/関心事などのテーマや、特定のアーティスト、ライブハウスなどの個人・団体を中心に、人が集まることができる機能」とのことです。
さて、あるイベントが2回目、3回目とやるには、Facebookでイベントページなどを作成してコミュニケーションをとる事が多かったように思います。
ざっくり言うと、オフライン関係はpeatixで、オンラインの活動はfacebookで活動しなければならなかったわけですね。
それが今回のpeatixのグループ機能、即ちコミュニティ機能の付加により、peatix上でオンライン活動もできるようにし、継続的なコミュニティ活動をしてもらえるようにしてもらおう、というのが今回の趣旨だと理解しています。
こうすると、ユーザのpeatixへのコミットメントが増すので、ユーザがpeatixプラットフォーム上にいる時間が長くなります。そうすると広告効果が高くなったり、peatixで開設されている別のイベントに誘導しやすくなるといったことが起きるので、peatixはこれからそういうことを施行していくのでしょう。
ここからはさらに感想ですが、日本においては、アーリーアダプターというかITリテラシーの高い層のfaebook依存度はびっくりするほど高いです。ので、facebookのネットワーク効果や効率性というものがすごく高い、逆から言えばそのポジションを奪うのはものすごく大変かと思います。そのあたりpeatixがどう攻め込んでくるかは、今後注視したいところです。奪えたら効果は大きいと思いますけどね。
最終的には似てくる気もしますけどね
イベント系のビジネスモデルはお互いがお互いを真似できますので、最終的には似たような機能を備えてくると思います。同じゴールに対して右から行くか左から行くかの違いだと思います。とすると、そこまでこけないことが重要ですし、ブランディングも重要になってくるかな、と思います。ビジネス系のイベントならここ、ライブならここ、みたいな感じですね。
イベント市場はどこが大きいのかわかりませんが、取りたい市場に対してのブランディングが重要になってくるでしょう。今後どのサービスがどこの分野に強くなってくるのかも興味深いですね。
余談ですが、インタビューなどで「うちはこの分野が強い」みたいな主張もたまに見ますが、市場からそういう風に認知されているサービスは無いように思います。とすると、まだまだ逆転というかポジションが変わってくることは大いにあると思います。
ではでは深夜メガネでした。
おやすみなさい。