ファッションデザイナーって時代遅れなの?と思ってイラッとしました。
釣りでもなさそうな記事を見てこんなに「イラッと」したのは初めてかもしれない、というくらいイラッとした。
こちらの記事。
記事は前半と後半に分かれている。
前半は「稼げる人はちゃんと稼いで若手に投資していこうね、日本のプレゼンス出していこう!」というもの。これはいい。
特に柴田氏が「ビジネスの部分はビジネスとして運営しなければならない」という趣旨のことを発言していることは、とても好印象だ。
※何か上から言っているようにも見えますがそのような意図はない。
問題は後半だ。もちろん、うんうん(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ってなる箇所もある。が、とりあえず気になる箇所を挙げていく(なるべく本文をそのまま使っていますが、文意が変わらない程度に文章を変えています)
- 先日、ある店のオリジナルで、クオリティの高いベーシックなセーターを見ました。価格も買い易くて、本当は僕も普通に欲しいんですよ。でも、これを買ったらおしまいだなと思った。こんなものは思想の無い人が着る服だ!
- セレクトのオリジナルみたいな服がいま日本で一番売れている。そういうものを真似したら僕のブランドも同じになってしまうし、一方でそうしないと売れないかもしれない...(中略)...(インディペンデントではなく企業のデザインは)なんだかイイ感じに仕上がってはいるけど、でも…という感じになる。
- (※これは否定的な文脈なわけではない)
今では有力な欧米のブランドでも、最初の頃は「こんな縫製なのか」っていうものもある。それでも続けたら、クオリティーは上がっていくものだと思います。 - (日本のバイヤーは知らないのに)香港のITから商品を見たいと連絡がきました...(中略)...それって寂しいね。それに対して日本は危機感を持った方がいいかもしれない。日本のブランドなのに、海外の人の方が知っているっていうのは寂しいです。知ってて買わないというのなら別だけど、そもそも知らないというのは寂しい。それでは、アジアを中心としたハングリーな海外バイヤーに負けてしまいます。
これらがファッションデザイナーの方々を代表しての意見なのか知りませんが、仮にそうだとするとファッションデザイナーってこんなに時代遅れの老害みたいな生き物なんだなとビックリしました。
私らの来ている服は「こんなもの」ですって
まず、ファッションアーティストが、デザインにこだわって世にないかっこいいファッションを生み出そうとしていることには私なりに敬意を払っているつもりです。アーティストが生み出すアートだと思います。残念ながらファッション偏差値の低い私にはさっぱり理解できませんが、アートなんでしょう。
ただ、その「アート」を顧客とファッションを結ぶ「デザイン」とごっちゃになっているんじゃないでしょうか?
まず、「こんなものは思想の無い人が着る服だ」とおっしゃっています。「ある店」が普通の大学生が行くようなセレクトショップなのか、ハイセンスなファッションデザイナーがいるような店なのか知りませんが、「クオリティの高いベーシックなセーター」を「こんなもの」扱い。顧客のニーズがあるからその商品ができて売れているのでしょう?あなたの商品は売れなくて。
アーティスティックなファッションと一般人が着る服をそもそも一緒にする必要がない、というのが私の立場ですので、別にあなたの思うかっこいい服はどうぞつくればよろしい、と思っています。ただ、あなたの服が好きなのは人類の1%位しか興味をもたない「アート」なのだと認識したほうがいい。
大多数の普通の人間をこき下ろして「こんなもの」を来ているなんて思っているとは顧客をバカにしすぎだ。勝手にやってろ。表に出て来んな、という感じです。
セレクトのオリジナルみたいな服がいま日本で一番売れているってそりゃそうだろう
もうそれ以上なんて言えばいいのかわかりません。セレクトショップは売れるものを集めて売る店なんだからそりゃそうでしょう。あなた方の服が奇抜で売れないんですから。「アート」だからね。
セレクトショップみたいな服に「しないと売れないかもしれない」ってそれもそうでしょう。というか、あなた方セレクトショップみたいなものではなくかっこいいものを作るのが仕事ではないの?という感じです。
リーンスタートアップっていう考え方があるんだよ
リーンスタートアップ、もしくはMVPっていう考え方があるんですよ。ざっくり言うと「完璧な物じゃなくてと最低限のものを提示して顧客の声を聞く。反応がよかったら改良しろ」というものです。
この辺りに簡潔にまとめていただいているますのでどうぞ。
で、件のデザイナー、じゃなかったアーティストの話ですが、日本製は最初から縫製やらなんやらしっかりしてて素晴らしい、でも海外はそうでもないよね、って思っているんでしょうか。考えすぎかもしれませんが、ここでも他者をバカにしている気がします。
(この完璧主義的な考え方が記事前半の「若手の積極的な起用」を阻害しているんじゃないでしょうか?)
こちらから言わせれば、売れるかどうかもわからない製品を丹精こめて作ってるアーティストならいざしれずビジネスとしてのデザイナーなら当然の行為かと思います。
とりあえずコンセプトやMVPを世に出す、ニーズがあると判断すれば(現にこの方々は「わくわく」するようです)技術を学び、質の高いものを出していけばいいでしょう。
いいもの作ってれば売れるっていう考え方まだあるんだ
まぁ売れることもあると思いますよ。ただね、どこかの知らないところで知らない人が知らない製品作ってて見つかるわけないじゃないですか。いいものを作ったとしても人目につかなければないも同然なんですよ。ブログかSNSかその他の手段か知りませんが、見つけけてもらうように仕向けなきゃ(調べてないけどやってたらごめんなさい)。バイヤー、もっというなら顧客が見つけないのが悪い、みたいな発想の人の商品だれが買いたいと思うのかしら、っていう感じです。
(もしかして未だにFAXでPR笑してたりして)
アートでもビジネスでもいいけど、他人のせいにするな
以上、怒りにまかせてバババーっと書いてきました。見返してみたら、途中から落ち着いたのか、ですます調になっていますね笑
さて、繰り返しになりますが、別にファッションアーティストがアート作品を作るのはいいんですよ。ただそれが売れないだの、見つけてもらえないだの、他の製品選ぶやつらはわかってないだの言うのが気に喰わないんです。自分で対応する必要はないかもですが、もうちょっとビジネスのほうで活躍したいならもっとビジネスに目を向けて下さい、という感じです。
※アートが売れないとおもっているわけではありません、悪しからず。
写真でコミュニケーションを取るサービスが増えています
この記事を読んで面白かったのでピックアップ。
ファッションの好みは写真で伝えた方がいい
「Stitch Fixは、ユーザーが登録したファッションの好みや服のサイズなどの基礎情報とアルゴリズムを組み合わせ、そこから抽出された情報をもとに、スタイリストがユーザーの好みそうな衣類やアクセサリーを配送してくれるサービスだ」。airclosetさんみたいな感じですね。
ちょっとairclosetさんや他の類似サービスを使ったことがないので、他のサービスのことはわかりませんが、Stich Fixが面白いのは「本人が言葉でスタイリストに好みのファッションを伝えるよりも、写真などの視覚的要素を使ってデジタルに伝える」方法を採っていること。
言葉とファッションは相性が悪い
確かに、ファッションの言葉使いは曖昧です。例えば「ギャル系 ファッション」で調べてみると、ひとえにギャル系といってもその種類はとても多いです。ようは「ギャル系」という言葉だけで自分の好みを伝えるのはなかなか難しいということです。多分ギャル系の中にも色々な区分はあるのでしょうが、サブスクリプションファッションレンタルを選ぶセグメントの方々はそんな言葉知らないと思います。つまり言葉でファッションタイプを選ぶのは無理ゲーです。
なのでファッションの好みは写真で選びます
そこでStich Fixはpinterestと提携することを選びました。pinterestは「Pinterestはネット上の画像を自分の「ボード」に「ピン」して集めたり、他の人のボードに貼られた画像を「リピン」することもできる、画像をブックマークとして集めるツール」です。
2016年3月現在、piterestでStich Fixを検索すると1万件近いピンが見つかります。これなら自分好みのファッションが見つかるでしょう。選ぶの大変そうですが笑
「新たなユーザーがStitch Fixに登録すると、体型、好きな色、嫌いな色、好きな模様、いつものファッションスタイル、職場の服装規定や、ファッションへの意欲など、まずは長い質問に答えなくてはならない。そして、BOHO(ボヘミアンとニューヨークのソーホー地区を掛け合わせた造語)、クラシック、プレッピー、グラマラスなど、それぞれのテーマに沿った写真を見て、どう感じたかを回答する。」そうです。
写真でのコミュニケーションが増えている
Stich Fixのポイントは「いかに写真でその人の趣味に合った写真を選ばせられるか」です(他にも色々あるでしょうがここではこれに絞ります)。このように、写真がポイントになるサービスが増えてきました。スマホの写真画素数がうなぎのぼりなこと、instagramやsnapchatのような写真や動画orientedなサービスの普及、人工知能等の画像解析技術・サービスの増加、等がその背景でしょう。
さて、日本でも写真をコミュニケーションの中心にしているサービスを何個かピックアップしてみました
読モのプチプラアイテムが買える「#CBK」
まずは#CBK(カブキ)。
提携読モなどが自分のファッションをブログで公開。それを#CBK上に収集し、好きなコーディネートをピック。ただ、モデルさんが着ている服それ自体は高い(かもしれない)ので、そのプチプラアイテムが買えるというものです。
他人のおしゃれな部屋の写真がみれる「roomclip」
続いてはroomclip
ユーザーが「自分の家の中」を公開するSNSです。おしゃれなインテリアなんかが掲載されています。各写真にはタグがついていて、そのタグを頼りに自分の欲しいインテリアや家具を揃えていくものです。
ところでこのサービスどうやってマネタイズしているんでしょう。
ストーリーやECがセットになっている写真「THE WORLD ELEMENTS」
最後にTHE WORLD ELEMENTS。
PCとスマホでUIが違いますが、写真に「タグ」がこんな感じに埋め込まれているんですね。黒いのが「タグ」です。
(source)
まるでフランス。白でまとめたクリーンな世界【Heroomtage・中尾智子の部屋 / リビング編】 | THE WORLD ELEMENTS(ザ・ワールド・エレメンツ)
このタグは複数種類があって、たとえば「story」をクリックすればその製品のストーリーが、「shop」をクリックすればECにとんだりします。便利。
写真と動画起点のサービスは増えるはず
このように、写真がコミュニケーションの中心なサービスはファッションを中心にどんどん増えています。最近は写真(にうつっているもの)のストーリーがセットになっているものも増えている印象がありますが、それはまた次の機会に。
また、最近は動画サービスも色々出てきています。動画も近いうちにコミュニケーションの主役に躍り出てくるでしょう。今はvine、snapchat、cchannnelなんかだと思いますが、「動画そのもの」ではなく「動画が媒介の」サービスが増えてくると思います。まとめるのが楽しみです。
それではでは深夜メガネでした!